〈自衛隊と社会〉 第1回 弁護士が予備自衛官になって、武器訓練も受けている

    これから何回かにわたって「自衛隊と社会」というテーマで、自衛隊(広く軍隊)と社会の「関係性」について取り上げたいと思います。

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    第1回の今日は「弁護士も予備自衛官になるご時世」という内容で、佐賀県内の二人の弁護士が「予備自衛官」になって訓練を受け「2尉待遇」になっている、ということについて書こうと思います。

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    「自衛隊佐賀地方協力本部」という自衛隊の隊員募集するための組織があります。各県ごとに「自衛隊地方協力本部」というのがあります。「佐賀県」を担当するのが「自衛隊佐賀地方協力本部」で佐賀の場合4つの事務所などに分かれています。


    この「自衛隊佐賀地方本部」のHPを見たら、びっくりしました。

  「予備自衛官予備自衛官補 座談会」というコーナーがあり、そこで「地連」の本部長と二名の弁護士とその他の予備自衛官が写真入りで対談を行っています。予備自衛官である二人の弁護士はそれぞれ平成25年7月、26年12月に予備自衛官に採用されていますから、採用されてから現在まで各3年、1年半が経ちます。

 

   予備自衛官制度というのは「いざという時に必要な防衛力を急速、計画的に確保する制度で即応予備自衛官予備自衛官予備自衛官補の三つがある。予備自補は自衛官未経験者を対象とし、技能公募は9個区分の職種から採用。2013年度から採用が始められた法務(弁護士、司法書士)は全国で計6人が合格した。所定の訓練(技能は2年以内に10日)を経て予備自衛官に任用される」(朝雲新聞)

 

    では、彼らはどのような動機でこのような予備自衛官になったのでしょうか。


    一人の弁護士は東日本大震災を挙げています。法務担当の予備自衛官補で「災害時に法的助言」という見出しで佐賀新聞2013・7・03に紹介されています。「教育訓練が佐世保市相浦駐屯地で10日間実施され」、「基本教練や武器訓練を行っ」たという。この時点で37歳。この人は北九州市出身で大阪市立大学法科大学院卒業後弁護士になって佐賀県内の法律事務所に勤務しています。
    もう一人の弁護士は2010年法科大学院を卒業して、同年「新司法試験」に合格。司法修習64期を終え佐賀県弁護士会に登録し佐賀県内の弁護士事務所に勤務しています。「弁護士として地元で活躍したい」という希望を持っているようです。その人が予備自衛官になった動機はもう一人の弁護士から「予備自衛官の訓練の話を聞いたり、中国、尖閣諸島の問題等、日本の防衛について危機感を考えさせられ」「『自分でできることはないかな。』」と考えたということだそうです。

 

    最近、弁護士では「食えない」と言われています。なぜなら「弁護士過剰」だからです。報告等によると年収300万円台の弁護士もザラのようです。弁護士が「特別」だった時代は終わりました。このようになった大きな理由はいわゆる「司法制度改革」にあります。司法試験制度を変更して法科大学院を創設し、大量の弁護士を作り出すことが財界・大学・大学教員・法務省がメリットになると考え実現しました。この結果、司法修習制時代も給与は出ないし、法科大学院に行くにも多額の借金をして弁護士になってから返済する状況だといわれています。仕事が回ってくれば借金の返済も可能ですが、「弁護士過剰」時代に必ずしも収入が十分とも言えません。

    上記の弁護士たちがどのような状況に置かれているのか不明ですが、少なくとも言えることは二人とも法科大学院卒業であるということです。また人生を戦略的に生きようとされているのかもしれませんから、実情はわかりません。分かる事実だけを挙げておきます。

 

    このブログ記事のテーマは、個人の人生を云々するのでなく、「自衛隊と社会」もう少し広く言えば「『軍事組織』と社会の関係」について考えることにあるからです。
    つまり自衛隊が社会に「対して」どのような影響を与え・地位を有するのか、また社会は自衛隊に「対して」どのような影響を与え、どういう地位にあるのか……ということを暫く検討していくためのものです。(続く)
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《資料》

(出典)予備自衛官及び予備自補座談会

(朝雲新聞 )

初の弁護士予備自が誕生 災派現場、法的判断を迅速化(2013年9月5日)

2013年9月27日更新 朝雲新聞

 【佐賀地本】地本(本部長・遠藤隆事務官)は9月5日、地本本部長室で予備自衛官任用辞令書交付式を行った。今年度から採用が始まった予備自衛官補(技能・法務)から任用された山口修予備2陸尉(38)も交付を受け、全国で初めて、同自衛官補から採用された弁護士の予備自衛官が誕生した。


 任用辞令書交付式で遠藤地本長(左)に服務の宣誓を行う山口予備2尉(9月5日、佐賀地本で)

佐賀地本の山口2尉が予備自補から
 辞令書交付式には、佐賀地本で自衛官補として採用された4人のうち、規定の訓練を終え予備自衛官として任用された山口予備2尉1人が出席、遠藤本部長から辞令書を交付された。同本部長は「今後いろいろな場所に招集されるかもしれないが陸上自衛隊の一員として力を発揮してほしい」と訓示を述べた。

 山口予備2尉は福岡県北九州市出身。大阪市立大法科大学院卒業後、司法試験に合格し、弁護士活動をスタート。現在、佐賀市内の法律事務所で各種訴訟などに当たっている。

 「災派現場で明確に法的な線引きができれば隊員が活動に専念できる」などの理由から予備自衛官補に応募。健軍駐屯地で4月中旬に行われた試験に合格し、7月1日付で採用された。

 予備自衛官補採用後、118教育大隊(相浦)で8月(8月2日からと、同23日から各5日間)に行われた訓練に参加。「体力など基礎的な部分が足りないことを感じた」という中、基本教練など所定の教育訓練を修了し、最終日翌日の28日、予備自衛官に任用され、併せて2陸尉の階級を指定された。

 山口予備2尉は任用後、「万が一の事態に備え常に知識や心身を鍛えるとともに、今後の招集訓練にも積極的に参加したい」と抱負を語った。
 予備自衛官としての最初の招集訓練(5日)は4特連(久留米)が担任し来年1、2月に目達原駐屯地で行われ、精神教育、武器・体育訓練、野外衛生・救急法等の習得に臨む。

 弁護士資格を持つ予備自衛官はこれまでにもいるが、予備自衛官補から任用されたのは初めて。災派などの際に総監部で法務専門官として対応に当たることが期待されている。

 

(佐賀新聞)

予備自衛官補に弁護士 災害時に法的助言/佐賀新聞ニュース

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