ある乳ガン患者のカルテ開示請求

この前ある男性の乳ガン患者さん(Mさん)から、「病院にある自分のカルテを見たいのだけれども病院側から断られた」という相談を受けました。
その相談は、こういう内容でした。

🌠    🌠
Mさんは男性ですが乳ガンに罹患しそのガンのしこり(腫瘍)を切除する手術を受けました。手術を受けた病院は独立行政法人○○医療センターでした。Mさんの相談は自分の乳ガンの状態を知る目的でその病院の医師たちが書いたMさん自身の病状カルテ、生理検査報告書を直接見たい、自分の手元で(その写し)を保管したいんだけど、どうしたらいいんだろうか、というものでした。


実はMさんが自分が乳がんではないかと疑ったのは9年位前でした。
9年位前に近くの乳腺専門のクリニックで診察を受け、マンモグラフィーなどで写真を撮ってもらいました。自身の左乳首から僅かに血のようなものが出てシャツが汚れるので気になって、乳腺乳がん専門の医師に診てもらったようです。その時は「乳腺症」と診断され3か月後に何か異常があれば来てくださいと医師に云われたのですが、その後特に異常や問題もないようなので、その時は再度医師に診てもらうことなく普通に日々忙しく過ごしていたそうです。


ところが今年になってある日、左を下にして寝たりうつぶせ寝をすると左乳首が痛いなぁ、と感じたそうです。


彼は男性でも乳がんになると云うことを前から知っていましたし、最近ではタレントさんで乳がんになり切除や放射線治療をするということがよく報じられているのでちょっと気にしていました。自分でも前に乳腺専門医に診てもらったくらいですから、ちょっと嫌だなと思っていたようです。


また男性の乳がんは絶対数は少ないのですが60歳~70歳に間で発症率が高い、男が乳がんになると思われていないので、乳がんと思わず医師に診てもらうのが遅れ重篤になりやすいという傾向があるそうです。彼は以前からそういうことも知っていました。


そこで前に行った女性外来のある乳腺専門医のクリニックに受診しマンモグラフィーを撮ってもらったり簡単な生理検査をしてもらったそうです。その結果、「乳がんの疑いがある」という医師の診察判断を受けました。


さらにMさんはそのクリニックの医師から紹介状を書いてもらい、独立行政法人〇〇医療センターで受診し諸検査をしてもらったところ、「乳がんの疑いが高い」と判断され左側の乳頭乳腺の切除手術をした方がよいと医師に言われ、自分でもその方がよいと考え早期に切除してもらったと云うのです。


実はMさんの相談はこの先にあります。
Mさんの腫瘍(しこり)は手術前には良性のモノか悪性(つまりガン)なのかわからないと云うことでした。確率的には癌である確率は高いがひょっとしたらガンでなく手術は過剰診療になるかもしれない、手術中に腋窩リンパ節からリンパ液をとって~要するに左乳首と周辺部分をとって(切除)すると同時に左の脇の下からリンパ液を採って生理検査をすると、どこまで癌が広がっているかわかり完全性があるという説明を受けたということでした。


Mさんは腋窩リンパ節からリンパ液を取る際に周辺の神経を傷つけることが屡々あり予後がよくないという説明を受けていましたし、自分でいろいろ調べた結果乳腺乳頭切除と共に腋窩リンパからリンパ液を採るのはちょっとリスクがあり嫌だなと感じていたようです。腋窩リンパからリンパ液を採取するとその際周辺の神経を傷つけ、腕が上がりにくくなることがあると云うのです。また良性だったら(ガンじゃなかったら)、痛いのはかなわないと感じていたようでした。


ただガンでなくても乳腺乳頭の切除の手術はしないといけないようでしたので、それなら、早い方がいいと気が早いMさんは、乳がん学会のサイトを調べたり、周囲の男性乳がん患者さんから話を聞いたり、知人の医師に乳がんの詳細を尋ねた後、早く手術を受けたようです。

🌠🌠🌠🌠
問題はこの先です。
乳がん手術の前の看護師さんの説明はていねいでした。カウンセリング機能ももっているようでした。しかし
Mさんは「この間撮ったMRIマンモグラフィーの影像はもらえるのですか?」と聴いたところ、それはできなくはないのですが、患者さんの中には「SNSに挙げてしまったりして後でご自身のプライバシーが害されるという問題がでるので、医師から詳しい説明をしますし疑問があれば何度でもお見せしますし説明させていただきますが、影像はお渡しできないのですが」と云われたと云うのです。


手術し退院後、医師にもMさんは同じ質問をしました。
切除した細胞の生理検査の結果などを踏まえ「初期乳がん」ということが確定しその後放射線治療抗がん剤治療をしなくてもよいという判断がされました。
そこで細胞の生理検査の記録はいただけないのですかとMさんが尋ねたところ、それはできないことになっているのですよ、と丁寧な口調でいたがキッパリさっぱり断られました。40歳位の女性医師だそうです。

🌠
果たしてこれはどういうことだろうか。
個人情報開示請求からすれば、個人のプライバシーにかかわるセンシティブな情報である自分のガン(DNAレベルも含めての情報)が生理検査の記録から分かる筈です。またMさんのお子さんや子孫も自分が癌(特に乳がん)になる可能性が高いはずですから事前に知ることは本人家族の利益になる筈です。
特に男性の乳がんの場合遺伝性(家族性)のことが多いと云うのが医学研究成果です。としたら本人家族とくに子供(女性)がいる場合には早期に乳がんを発見あるいは出来得ることなら予防という対応が採れると思われます。こういうことから生理検査の結果について開示して欲しい資料を欲しいと考えたと云います。
医師も、お子さんやご親戚の方で女性の方がいる場合にはできればご自身が乳がんに罹ったということをお話になって乳がん検査を受けたり日ごろ注意したりするようにお話になられと良いと思いますよを云っておられたようです。

 


だとしたら余計に自己情報である細胞の生理検査の記録は欲しいし自己の健康身体という「最も」重要な情報の資料を入手できて当然だと考えたようです。

✳️✳️
以上を法的に見れば、日本国憲法第13条前段の「個人の尊重」規定及び同条後段の「幸福を追求する権利」を根拠に当然開示請求できると云うのが筋です。(なお個人情報開示請求につき権利説を採用します。他説批判などは別途検討します。)
それに対して病院側の主張はいわゆるパターナリステックなものです。要するに患者がSNS(例えばこのようなブログ、特にガンブログにUPしてしまい、その画像が別の人に(二次的三次的に)使われたり広まってしまうと患者が「困る」というモノです。
(続く)