「『国家安全保障と二重政府』説を批判する」(浦田賢治)を読む ………日本憲法学の未来と可能性を考えながら

  「『国家安全保障と二重政府』説を批判する」(浦田賢治)を読んでいます。
  この浦田論文は全国憲法研究会編『日本国憲法の承継と発展』(2015・5・3刊)という論文集の中に収められています。
  この論文を読みながら感じたことについて感想を書いておきます。


  今から70年位前の1950年ごろからずっと、日本支配層は国民に対する支配を強化し・反「人権」・「見えざる」<戦争>遂行路線を強行・邁進し、日本国憲法ブルジョア憲法)の破砕を進めている。  また世界を見渡しても帝国主義者が搾取強化(超過利潤の追求)と覇権を競いあっている。
  この状況が続く中、2014年グレノンはこの状況を生み出している軍産複合体の実態の一部を「国家安全保障と二重政府」という著書論文の中で明らかにしている。

  しかしこの論文は実は軍産複合体による統治を(法的に)正当化するものである。

  そこで浦田賢治はそのような支配の構造を否定し「抵抗と批判」(芦部信喜)の憲法学を再構築し、未来の研究者と未来の国民・労働者階級に属する人民、先進的民主主義の道を歩もうとする人々に向けて批判論文を書いている。

  つまり浦田論文の狙いは「国家安全保障と二重政府」論に述べられている軍産官学メディア複合体の「ネットワーク」を根本から否認し、その批判的克服を目指し、憲法に規定された「議会・行政(執行権)・司法」が国民主権の下で実効的・適切に運用され、文字通りの「人民自身の統治」を実現しようという点にある。

  そう考えると本論文は現代の問題をあぶりだしそれに対する日本憲法学からの反撃提言である。したがって本論文は日本憲法(学)の未来と可能性を感じさせる優れた論稿であると確信する。
  このような可能性を感じさせる論文だ。

   だが、残念ながら具体的な処方箋にはなっていないと思われる。(そしてとても読みにくい。)それらがこの論文の限界であると思わされる。

   処方箋づくりは未来の日本人、人類に委ねられている。未来の憲法研究者は「何を目指す研究なのか」「学問を志す者にとっての眼目である」(浦田)と浦田に問いかけられている。未来の憲法研究者は浦田賢治や、学徒出陣に駆り出され「『批判と抵抗』の憲法学」を構築した「芦部信喜」(浦田)に答える番である。人類の大道を目指すのか、隠れ軍産官学メディア複合体に奉仕する「研究」を目指していくのか問われている。そしてこれはただの市井の(影の)憲法闘争参加者にも問われることだ。

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(注)浦田賢治 早稲田大学名誉教授(1935年2月生まれ、熊本県佐敷町出身。有倉遼吉(早稲田大学)の下研究生活に入る。2005年早稲田大学退職。83歳。)
(注)本論文集(『日本国憲法の承継と発展』)は、2015年に全国憲法研究会(「全国憲」)がその創立50年を記念して編まれた論文集。
(注)全国憲法研究会は日本の民主的憲法研究者が結集して1965年(昭和40年)に作った研究団体。
前年1964年(昭和39年)憲法調査会最終報告書が出されて明文改憲が策動される中、小林直樹、長谷川正安、芦部信喜ら25名が世話人となり、112名の憲法研究者で作られた団体。
現在は約500名の研究者が属している。
(注)私に言わせりゃ、「ありゃ、水膨れだねぇ」と云いたくなるがね。まあ悪態突くのはやめとこう。

(注)憲法自身の「保守性」、つまり憲法というものは一定の社会関係を前提としてそれを維持することを目的として作られている。ですから憲法が実現されているところでは憲法に進歩性はない。

(注)グレノンについては下記を見られたい。

グレノンはこう問題提起している。

ブッシュ政権からオバマ政権に移行しても米国の安全保障政策には何の変化もない。たとえオバマが何を言おうと何を試みようとも、変化はない。その理由は何か。官僚「ネットワーク」が米国には張り巡らされておりそのネットワーク(だけ)が実質的に国家安全保障を担当しており、米国憲法が予定した行政執行(権)、議会、司法権は民衆に見せかけの合法性を見せているだけで何ら監視機能を有していないと述べている。

フレッチャースクール - Wikipedia

 

mondediplo.com

(注)グレノンの論文著書については下記など参照。

youtu.be

 

www.amazon.com

(注)直接関係はないがこういうこともあった。2014年。軍産複合体を止めるのは誰か。

www.afpbb.com


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二葉とも、かえる写す。